今日は、スタインウェイ神戸のマンスリーリサイタルシリーズ。6回目。
素敵な演奏でした。お客様からも喜びの声をたくさん聞けてよかった!
さて、今日はそんなスタインウェイ神戸コンサートホールでのリサイタルシリーズが始まった経緯をご紹介。
多分、僕の人生において大切な学びの経験の一つでもあるのです。
普通に考えて、世界の一流ブランドのスタインウェイグループが、創業2年目のなんの歴史もないセレーノグループと提携して事業を行うなんて、どうなってるんだと、思う方も多い気がします。
スタインウェイといえば、僕にとっても憧れのブランド。実は非常勤で勤めてる学校の音楽室にもあるのですが、いずれは自分の家にも置いて、ハイドンのソナタとか練習したいと思ってます。
そんなスタインウェイと仕事ができるなんて、僕自身も、そんなこと一年前は1mmも思ってもなかったのです。
なんでそんなことになったのか。
遡る歴史は、1年。。。
僕は昨年のゴールデンウィークに、ある神戸の音楽祭のお手伝いをしていました。
神戸ではなかなか名の知れた名士の方々も関わるグループが主催していた国際音楽祭。予算規模は約3000万円くらい。
ゴールデンウィークにハーバーランドのモザイク側の港を5日借り切って、また、松方ホールも2日借り切って、世界的なアーティストを呼んできての一大イベントを、
各地で大きなイベントを成功してきた実績あるベテランプロデューサーの元計画されていたのでした。
事件が起きたのは、イベント2ヶ月前。
なんと、全権限と情報を握るプロデューサーが、脳卒中で倒れられ、意識不明の重体に!
ここからが大変でした。
まだ、セレーノ・チェンバーオーケストラが誕生する前の話です。
主催者のグループは、ご年配の方が多く、音楽の大きなイベントを自分たちでやったことなんて、ないような状態。(もちろん僕もこんな規模は初めてでしたが。)
お金だけ払い込んでプロデューサーに任せていたのに、意識不明に!
巨額の資金を出しているのに、中止になんてできない!てんやわんやでなんとかマネジメントを回さないといけない!
そんな時に、たまたま主催グループの中で僕がお世話になっている方がおられて、コンサートマネジメントをしている僕に助けて欲しいと連絡がありました。
話を聞いて、びっくり仰天。大変なことになっています。僕が主催したことがあるコンサートなんて、当時はせいぜい200人程度の小さなもの。こんな大きなイベントのマネジメントなんてしたことがありません。
でもそんなこと言ってられない。他に人がいないんです。笑
そこから1ヶ月半ほど、僕はボランティアとして、一銭もお金は受け取らず、足りない公演のマネジメントやプロデュース、ボランティアや若手のアルバイト手配、大きなコンサートのステージマネジメントなど、できる限りのお手伝いをさせて頂きました。
その結果、大成功と言えたかは分かりませんが、なんとか無事イベントの全日程を終えることができたのです。
その時の僕は、
“今回は仕事にはならなかったけど、これだけ大規模なイベントの裏側を全部見れただけでも、いい人生の勉強になって良かった!”
くらいに思っていたのです。
で!す!が!
そういうところを、見てくれている人はいるものなのです。
その半年後くらいに、新しく神戸に出店されるスタインウェイの代理店会社の社長が、神戸のホール運営を助けて欲しいと、神戸で力を持っている名士の方々にお願いして回っておられた時に、
ある方が、以前国際音楽祭の時にものすごく尽力してくれた静間っていう若くてすごく仕事ができる音楽家と、素晴らしい実力を持った若い演奏家が集まるセレーノっていうグループが神戸にはいるから、紹介しよう、と社長を紹介して下さり、
社長と直接繋いでいただいて、活動内容をお話した所、実績を評価して下さり、トントン拍子で、主催公演のマネジメントを、セレーノで担当させて頂けることになった、という、、、
まあ簡単にいうと、そんな経緯がありました。
ここから僕が学んだ、大切なこととは、
“見返りを求めず、誰かに喜んでもらうために、また困っている人を助けるために、自分の能力を惜しまず使うことで、想像もつかなかったレベルで自分に大切なものが返ってくることがある”
ということ。
見返りを求めちゃったときは、大抵失敗します。笑
「今回は、、損するなぁ、、でも、まあしゃーないやったろか!」
と思って、本気でやったときの方が、あとあと数年先に考えた時に、いい形で自分に返ってきたりするもんです。
なので、僕は個人的に、人の喜んでくれるなら、惜しまず自分の能力を出し切ることをオススメします。
演奏家の皆さんには、ギャラが有ろうと無かろうと、自分を必要としてくれる人のためにはいつでも手を抜かず全力で演奏することを、強く強くオススメします!
SNSなんかで、
“芸術家にボランティアを求めるな”とか、”タダで出してもらえると思うな”とか、そんな論調がありますが、
そういうことは、応援してくれる他人が主張してくれて初めてありがたいことであって、
当事者が自分で言ってるようじゃ全然ダメだと思ってます。
ボランティアで、本気出せる人が、一番強い!
僕は最近、そう思いますね!