ヘンデルのブーレはどのテンポ!?

さて、今日は午前中、今年の勤務校に最終出勤してから、コンサートの広報活動やマネジメントの準備を一通り終えて、たくさん届くありがたい連絡や依頼の返答をして、

その後、少しまとまった時間をとって、真っさらな楽譜を250ページほど読み進めました。4回通りくらい目を通して、音を鳴らして、メトロノームとにらめっこして、イメージ創り。

気づいたらこんな時間!!

セレーノ・チェンバー4月定期で取り上げるバロック音楽は、テンポ設定が非常に難しいです。

特に、ヘンデルの水上の音楽や王宮の花火の音楽は、

指揮者やオーケストラによって、全く違うテンポ設定の演奏で、録音が出回っています。

それぞれに、思惑や根拠があって、演奏されていると思うのですが、今回、一番適切なテンポを、考えています。

バロック特有のグルーヴ感を最大限引き出せる演奏になるよう、もう少しアイディアを練りたいと思います。

お楽しみに!!

今日は、雑誌の取材依頼や、来年度の新しい仕事依頼も来たりして、バタバタしておりましたが、今後が楽しみです!

基本的に毎日1つ何か新しいことを始める、というのを心がけていますが、今日は5つ新しいことをしました。

新しいことをしていると、すぐに時間が経ちますね。時間マスターになりたいですね。


音楽家の個性を活かす時代へ

コンピューターの性能の向上や、インターネット出現で、あらゆるクリエイターやアーティストによる作品の価値付けの低下、無償化の流れが進む中で、

これを止めようとするよりも、流れに乗って新しいマネタイズの仕組みを設計した方が、結果的に効率よくその価値を広められるのではないかと、僕も思っています。

小説、絵本、漫画、雑誌、なんでもインターネットを通して無料や格安で読める。

映画もいろんなサイトで無料、格安で観れてしまう。

コンサートに行かなくても、youtubeなどで無料で音楽が聴けて、見れてしまう。

デザイン素材も、フリー素材がどんどん出回る。ロゴデザインなんかも人工知能が無料で創ってくれたりする。

こういうことが進むと、クリエイターやアーティストにお金が入らなくなって活動が苦しくなるので良くない!

と言うだけは簡単。
もちろんある意味正しい。

でも、その流れは止まらない気がする。

だったら、逆に、

無料でこれだけたくさんの人にアプローチする手段が無限にあるこの時代だからこそできる、新しい仕組みを考えていかないと、

昔のやり方は通用しなくなる。

昔のやり方が通用しなくなるという現象は、いつの時代、どの現場でもあったはず。

実際に、作家さんや映画作品などは、無料コンテンツの有効利用で、うまくマネタイズができている例が出てきてる。

では、音楽は?特にクラシック音楽と何が1番大きく違う?

そう考えた時に、一つの答えは、

“個人の強さ”

ではないだろうかと思ってます。

新しく売れる小説など出版物、映画、比較的マネタイズが上手くいってるクリエイターたちにこぞって言えるのは、

個性の強さ。

新しいものを作ってる人なのだから、当たり前なんですけどね、人気が出れば、今生きているクリエイターにファンがつく。

作家、漫画家、映画監督、俳優、

これらの仕事で成功してる人たちは皆、今を生きて、自分の想いを作品にぶつけることで、ファンを掴んでいる。

クラシックの演奏家はというと、もちろんそういう方もいるけれど、どちらかというと、自分を出すより、自らを作品や作曲家、音楽そのものの価値を伝える”手段”のような捉え方をしている人が多いように思う。
これは間違ってない。本来そういうものであるべきだと、僕も思っている。

ただ、新たにクラシック音楽を面白いと思ってもらう人を増やそうと思ったら、

今、この時代に、本気でクラシックを面白いと思っている演奏家自身にもっとスポットライトを当てないといけないのかなと思っています。

演奏家の生き様を、もっと発信する、

“なんでこんなことを人生かけてやってるのか”

“ベートーヴェンを通して、あなたは何を伝えたいのか”

そんなことをもっと伝えられるように、仕組んでいかないといけないなと、思っています。

大切なのは、やっぱり”人”なんだと思います。

私も含めて、演奏家自身が、自身の演奏を通して”何をしたいのか”もっと深く追求する必要がありそうです。

その想いはきっと人それぞれ。ただ、その想いの強さに、惹きつけられる人は必ずいるはず。

具体的なマネタイズの仕組みは、、

たくさんアイディアはあるけれど、一つずつ試すしかないですね。


バロック音楽はドラマチックに!

○バロック音楽は、ドラマチックに

今日から5日間は指揮者業に集中です。

楽譜の世界から、色を取り出す作業。

そして、魂を揺さぶるための具体的なエネルギーに変換する作業。

とにかく色々な表現、歌い回し、間合い、できることはなるべく試して、イメージを広げる。その中から、最もパワフルなものを見つける。

セレーノ・チェンバー第1回のプログラムは、僕にとっても全てが挑戦です。

これまで、イチ聴衆でしかなかった作品たちを、今回初めて演奏する側に回る。

クラシック音楽を演奏する者にとって、基本の”き”のように言われる作曲家たちかもしれませんが、生半可じゃない難しさ。

音以外何も記されていない楽譜。

無限に存在する表現のパターン。

常に複数のメロディが混在するポリフォニー。

正解の数も、無限にある。

その中から、今回限りの、

今、このメンバーでしかできない1つのベストな響きを探し出す。

素晴らしいメンバーと、満席のホールで、人生初のハイドンシンフォニーデビュー。

もちろん、ブランデンブルグも大好きな作品ですが、指揮をするのは今回が初めて。

幸せを噛み締めながら、ドラマチックでグルーヴィッシュな演奏を、必ずお届けします。

お楽しみに!!

IMG_2137